
ケアマネジャーの資格を取りたいけど、更新に費用がかかると聞いてためらっている



ケアマネの資格を更新しないとどうなるのか気になる
ケアマネジャーの資格取得を検討している介護士の方、あるいは資格更新を控えている方のなかには、上記のような悩みがある方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はケアマネジャーの資格更新にかかる費用と、更新しなかった場合のペナルティについて解説します。
更新にかかる具体的な費用が把握でき、資格取得や更新するかどうかの判断に役立つ内容のため、ぜひご覧ください。
ケアマネの資格更新にかかる費用は?
ケアマネジャーの資格を更新するには、所定の研修を受ける必要があります。研修受講にかかる費用は自治体によって異なるため、ここでは東京都を例に紹介します。
なおケアマネジャーの資格更新にあたり、実務経験の有無や経験年数などによって、以下の研修のなかから必要なものを受講します。
- 専門研修Ⅰ
- 専門研修Ⅱ
- 更新研修(88時間)
- 更新研修(32時間)
- 更新研修(未経験者)
- 再研修
東京都にケアマネジャーとして登録している方が資格を更新する場合、以下の研修が対象となります。(2024年5月1日時点)


各研修の対象者と受講料を詳しく解説します。
専門研修Ⅰ
専門研修Ⅰは、初任者~中堅レベルのケアマネジャーを対象とした研修です。東京都では、以下すべてに該当する方を対象としています。
- 東京都にケアマネジャーとして登録している方
- ケアマネジャーとして実務に従事している方
- 実務に就いてから1回目の更新であって、就業期間が6か月以内の方
専門研修Ⅰの受講料は34,500円です。
なお、この研修だけではケアマネジャーの資格は更新できず「専門研修Ⅱ」あるいは「更新研修(32時間)」を受講しなければなりません。
参照:東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト|専門研修Ⅰ
専門研修Ⅱ
専門研修Ⅱは、中堅レベル以上のケアマネジャーを対象とした研修です。東京都では、以下すべてに該当する方を対象としています。
- 東京都にケアマネジャーとして登録している方
- ケアマネジャーとして実務に従事している方
- ケアマネジャーとしての実務就業期間が通算3年以上の方
専門研修Ⅱの受講料は23,800円です。
更新研修(実務経験者)
実務経験者向けの更新研修は、88時間と32時間の2種類あります。
88時間
88時間の更新研修は、東京都では以下すべてに該当する方を対象としています。
- 東京都にケアマネジャーとして登録している方
- 実務経験者としての更新が1回目の方
- 基準日時点でケアマネジャーとして従事していない、あるいは従事中だが就業期間が6か月未満
実務経験者が受講する更新研修(88時間)の受講料は、58,300円です。
参照:東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト|更新研修(実務経験者)88時間
32時間
32時間の更新研修は、東京都では以下すべてに該当する方を対象としています。
- 東京都にケアマネジャーとして登録している方
- 介護支援専門員証の更新が2回目以降の方
- 前回の更新時、更新研修88時間または専門研修Ⅰ・Ⅱを受講している
- 上記の更新後も実務経験がある
- 基準日時点でケアマネジャーとして従事していない、あるいは従事中だが就業期間が通算3年未満
- 現在の介護支援専門員証の有効期間内に専門研修Ⅱを修了した方
- 基準日時点でケアマネジャーとして従事していない、あるいは従事中だが就業期間が通算3年未満
実務経験者が受講する更新研修(32時間)の受講料は、23,800円です。
参照:東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト|更新研修(実務経験者)32時間
更新研修(実務未経験者)
ケアマネジャーとして実務経験がない方の場合、未経験者向けの更新研修を受講します。
東京都では、以下すべてに該当する方が対象です。
- 東京都にケアマネジャーとして登録している方
- 現在の介護支援専門員証の有効期間内に、ケアマネジャーとしての業務に就いた経験がない方
実務未経験者が受講する更新研修の受講料は、28,500円です。
参照:東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト|更新研修(実務未経験者)54時間
再研修
介護支援専門員証が失効している方がケアマネジャーとしての業務に就くには、再研修の受講が必要です。
東京都では、以下すべてに該当する方が対象となっています。
- 東京都にケアマネジャーとして登録している方
- 介護支援専門員証の有効期間が失効し、今後新たに専門員証の交付を受けようとする方
- ケアマネジャーの登録を受けた日から5年が経過し、今後新たに専門員証の交付を受けようとする方
再研修の受講料は28,500円です。
参照:東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイト|再研修(54時間)
ケアマネ資格を更新しないとどうなる?
ケアマネジャーの資格の有効期限は5年であり、ケアマネジャーの専門員証に記載されている「有効期間満了日」を過ぎると、都道府県から「介護支援専門員証の交付申請を速やかに行うこと」「更新研修を受講すること」が都道府県から通達されます。
この指示に従わずに、専門員証を更新せずにケアマネジャー業務を続けた場合、ケアマネジャー本人と就業先の事業所は以下のペナルティを受ける可能性があります。
- 本人:登録の取り消し・5年間登録不可
- 事業所:人員基準欠如等の場合は報酬減算
一方、ケアマネジャーの業務に就く予定がない方は、更新手続きを行わなくても問題ありません。更新をしなくても、資格登録自体が削除されるわけではないことが理由です。
しかし、更新研修にもスケジュールや定員などがあるため、将来的にケアマネジャーとして働く可能性がある方は、計画的に更新手続きを済ませておくと安心です。
参照:茨城県福祉部長寿福祉課|介護支援専門員の資格管理について
ケアマネ資格更新にかかる費用は給付金の対象
ケアマネジャーの資格更新のために必要な研修は、ハローワークの「特定一般教育訓練給付制度」の対象となっています。具体的には以下のいずれかに該当し、かつ研修を終了した方が給付の対象です。
対象者 | 詳細 |
①雇用保険の被保険者 | 特定一般教育訓練の受講開始した日において雇用保険の被保険者のうち、支給要件期間が3年以上ある方 |
②雇用保険の被保険者であった方 | 受講開始日に被保険者でないものの、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内で支給要件期間が3年以上ある方 |
支給額は、教育訓練経費の40%に相当する額です。4,000円を超えない場合は支給されないものの、ケアマネジャーの更新に必要な研修はいずれも超えているため、対象となります。
また、独自で研修受講料の補助を行う自治体も存在します。東京都では、ケアマネジャーの法定研修受講料の負担軽減に取り組む事業者に対し、必要な経費を補助しています。
対象経費や補助額は以下のとおりです。
対象経費 | ケアマネジャーの勤務先事業者等が負担した、資格所得および更新に必要な法定研修の受講料 |
補助基準額補助額 | 勤務先事業者などが負担した受講料の3/4 |
補助対象者 | 都内事業所でケアマネジャーの資格を活用する業務に従事する者 |
対象事業所 | ・介護保険施設・居宅介護支援事業所・地域包括支援センターなど |
研修受講料の負担は決して少なくないため、一部でも負担してもらえるのは嬉しいですね。
まとめ
ケアマネジャーの資格を維持するには、実務経験の有無や経験年数などに応じて各種研修を受ける必要があります。一方実務に就かなければ、必ずしも研修を受ける必要はなく、再研修を受ければ専門員証の更新は可能です。
「ケアマネジャーの資格は1度取ったら更新が必要」という漠然としたイメージから、受験をためらっていた方もいるのではないでしょうか。5年ごとの更新が必ずしも必要ではない点を考慮すると、ケアマネ資格にチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。
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