訪問介護を辞めた3つの理由!施設経験7年の介護福祉士が2年で退職

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訪問介護の仕事が自分にあっていないと感じているけれど、辞めるべきか迷っている

訪問介護しか経験していないから、ほかの現場に転職しても続くか心配…

訪問介護の現場で働いている方のなかには、上記のような悩みがある方も多いのではないでしょうか。

訪問介護は自宅で生活する方を支援することから、特養や老健などの施設と比べると楽そうだと思われがちなのも事実。しかし、施設で約7年勤務した筆者は、訪問介護事業所に転職したものの、約2年で退職しました。

今回は、介護福祉士の筆者が約2年で訪問介護事業所を退職した理由をお伝えします。訪問介護の仕事で現在お悩みの方はぜひご覧ください。

目次

訪問介護を辞めた3つの理由

訪問介護を辞めた理由の前に筆者の経歴を簡単に紹介させていただきます。

  • 新卒で特別養護老人ホーム内のショートステイに配属:約2年勤務
  • ショートステイから特別養護老人ホームへ異動:約3年半勤務
  • 特別養護老人ホームを退職してグループホームへ転職:約1年勤務
  • グループホームを退職して訪問介護介護事業所へ転職:約2年勤務

つまり、ショートステイ・特別養護老人ホーム・グループホームの3つのサービスを経験したのちに、訪問介護へ足を踏み入れました。

訪問介護の仕事をやりたいと思ったきっかけは「少しでも早いうちに、いろいろな介護サービスを経験しておきたい!」という理由からでした。

また、ショートステイは普段ご自宅で過ごされている方を対象としたサービスなので、自宅でのお話やデイサービスなどでのお話を聞き「自宅で生活されている方ってイキイキされているなぁ」と興味を持ったことも理由の1つです。(もちろん、家族関係で悩まれている方もいましたが…)

しかし、訪問介護の仕事を始めたものの、以下3つの理由から退職へ至ります。

  • 訪問先の入れ替わりが激しく仕事内容・道順ルートなどが変わる
  • 想像よりも人間関係がギスギスしていた
  • ワークライフバランスが施設勤務よりもとりずらかった

ご利用者様の入れ替わりが激しく仕事内容・道順ルートなどが変わる

施設でもご利用者さまの入退所はありますが、訪問介護はおもに以下の理由でご利用者さまが入れ替わります。

  • 介護が必要になってサービスを利用し始める
  • これまで利用していた訪問事業所が嫌で別の訪問事業所を利用し始める
  • 介護が不要になってサービスが終了になる
  • お亡くなりになってサービスが終了になる

もちろん上記以外にもあります。

筆者が働いていた事業所は「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」「定期巡回随時対応型訪問介護看護」の3つのサービスを1人で提供する事業所でした。コロナ禍だったこともあって、病院に入院せずに自宅で過ごされることもあり、特に看取りの方などは必要なときにヘルパーを呼ぶこともできる「定期巡回随時対応型訪問介護看護」を利用されるケースもありました。

看取りの方なので、それこそ「退院した夜に訪問してサービスを提供し、翌日には亡くなられる」といったケースもあります。そのため、定期巡回利用の方で看取りの方が多い時期は「毎回のように訪問先・サービス内容が変わる」といったことも、珍しくありませんでした

また、定期巡回は、ご利用者さまやそのご家族からの電話があったタイミングで、必要に応じて訪問するサービスです。そのため、不慣れな地域、かつ車だと、道順を覚えるのにも一苦労です。

訪問するのが、日中だけだったり慣れた道だけだったりすればよいのですが、夜間対応型訪問介護や定期巡回も提供している事業所は夜勤もあるため、下手すると「夜中の2時に初めてのご利用者さま宅に訪問する」といった場面もあります。

私は訪問介護をするために車の免許を取ったこともあって、道を覚えて訪問先にたどり着くだけで一苦労でした。そのため、訪問介護で「ご利用者さまにケアを提供する」というよりも、それ以外の部分の負担感が大きく、訪問介護の仕事は続けられなかったというのが本音です。

想像よりも人間関係がギスギスしていた

介護業界のみならず、働いている方は誰しも、人間関係に悩んだり周囲から相談を受けたりしたことがあるかと思います。私が特養で働いていたころも、いわゆる「お局」をはじめとする面々が勢ぞろいでした。

しかし、ありがたいことに施設では人間関係に恵まれ、特に修羅場らしい修羅場は経験せず、温室育ちで訪問介護に飛び込んだ私でした。訪問介護は1人で現場を回るイメージもあったことから「人間関係で悩むことはないだろう」と考えていました。

しかし、その考えは甘かったことを思い知ります。

訪問介護の仕事ならではのワードである「出禁」。これは、ご利用者さまから「このヘルパーには来てほしくない」と言われてしまい、特定のご利用者さま宅のサービスを外されることを指します。訪問介護で働いている方なら、耳馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

しかし、この出禁を「ご利用者さま発」と見せかけて、同事業所のヘルパーがご利用者さまに特定のヘルパーの悪口を吹き込み、遠回しに「出禁に陥れる」というケースもあるのです。

出禁になったヘルパーは訪問できるご利用者さま宅が少なくなるため、当然肩身の狭い思いをしてしまいます。たとえば、火・金にサービスのあるAさま宅を出禁になった場合「ほかのヘルパーは火・金に休めない」「火・金に出勤する他ヘルパーの1日のスケジュールが忙しくなる」などの理由から、出禁になったヘルパーは精神的にも辛くなっていきます

そして一番厄介なのは、この所業をヘルパーに仕事を割り振る役割である「サービス提供責任者」が行っている場合です。出禁になったヘルパーは辛い思いをし、他ヘルパーは「特定の曜日は休めない」「忙しく休憩が取りにくい・残業になる」といった状況になるなど、事業所の生産性を自ら下げてしまいます。

もちろん出禁になるケースには、ヘルパー自身に反省すべき点がある場合もあるのですが、周囲から見ても「なぜ?」と思うような出禁事例があるのも事実です。そこには「事業所内のヘルパー同士の確執」が絡んでいることもあります

この出禁問題の当事者にはならなかったものの、この職場の心理的安全性は低く感じてしまい、ほかにも複数の問題があったため、働きやすい職場ではありませんでした。

よしの あんな

施設であれば、他スタッフの目もあるので問題が浮き彫りになりやすいのですが、訪問介護は個人プレーがちな職場だからこそ、問題が生まれた場合は陰険になりやすいのかなと感じました。

また、ご利用者さまとの「相性」なるものが、訪問介護では複雑なバランスで成り立っています。人間関係を上手く築ければ仕事での評価が上がりやすいのはどの仕事も変わりませんが、施設と比べると訪問介護の職場の方が特に顕著に感じました

ワークライフバランスが施設勤務よりもとりずらかった

昨今は、スマートフォンで仕事の情報をやり取りするのが当たり前になってきていますね。「LINEワークス」などのチャットツールを利用し、情報共有している職場も多いのではないでしょうか。

筆者が働いていた事業所も、休日も関係なく業務連絡が来ていました。具体的には「本日〇〇町の方と契約しました。夕方16時~のサービスのため、明日夜勤の方は15時出勤でお願いします」のような内容です。

もちろん、知っておくべき内容の連絡なのでやむをえないのですが、休日も気が休まらなかったのが本音です。また、アプリなので不具合があることもあります。入っていた連絡が通知されず、出勤時間を間違えたのは苦い思い出です。

時代が変わったので比較対象にはなりませんが、施設で働いていた頃はLINEでコミュニティ的なグループはあったものの、どうしても必要な場合は電話で連絡をいただいていました

ただ、チャットツールで頻繁に連絡が来るのは訪問介護だからではなく、施設でも同じような職場があると思います。人によっては便利さを感じる部分でもあるので、あくまでも個人的な感想です。

まとめ

今回は、筆者が訪問介護を辞めた理由をお伝えしました。介護職は職員同士で情報交換することもできますが、いろいろな意見・感想を踏まえて、退職なり転職先なりを決めた方がのちのち後悔しません。

現在訪問介護で働いている方のなかで転職を検討されている方は、ぜひ本記事も参考に施設への転職も視野に入れてみてくださいね。

また、以下の記事では、介護士向けの転職サイトも紹介しています。転職を検討中の方は、情報収集の1つの手段としてお役立てください。

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この記事を書いた人

介護福祉士として特別養護老人ホームや訪問介護などの多様な介護サービス形態を経験。介護業界歴約9年→現在は専業Webライターとして活動中。

「介護士は忙しいのに必要な情報が多すぎる」と感じた経験から、介護関連の情報をかみ砕いてお届けします!

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