特別養護老人ホームで働いてみたいけど、どんな仕事をするのかイメージできない・・・
特別養護老人ホームで働くメリットは?
介護士の働き先としてよく挙げられるのが特別養護老人ホームです。
しかし、特別養護老人ホームといえば「身体介助が多そう」「体力的にキツそう」といったイメージもあるのではないでしょうか。
今回は、特別養護老人ホームの特徴や働くメリット・デメリットを中心にお伝えします。
実際に働き始めてから「こんなハズじゃなかった…」とならないためにも、特別養護老人ホームの仕事内容に触れてみましょう。
特別養護老人ホームの特徴
特別養護老人ホームのおもな特徴は次の3つです。
- おもに要介護3~5の高齢者が生活している
- ご利用者様が生活を送るうえで必要な介助を行う
- 従来型とユニット型がある
それぞれ具体的に解説します。
おもに要介護3~5の高齢者が生活している
特別養護老人ホームの入居条件は以下の3つです。
- 要介護3~5で65歳以上の高齢者の方
- 40歳~64歳で特定疾患をお持ちの要介護3~5の方
- 特例によって入居が認められた要介護1・2の方
介護が必要な方の要介護度は「その人の介護にどれくらいの時間が必要か」で決まります。
特別養護老人ホームのご利用者様の中なかでもっとも低い要介護3の方でも、日常生活を送るうえで必要な動作に全面的な介助が必要です。
また40歳~64歳の方でも特定疾患をお持ちの方は、特別養護老人ホームに入居できます。特定疾患には「回復が見込めない状態のがん」や「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」「若年性認知症」といった16種類もの病気が該当します。
要介護1・2の方でも特例で入居が認められるケースもあります。
たとえば「認知症によって在宅生活が困難」「家族による支援が期待できないことに加え、地域での介護サービスの供給が見込めず在宅生活が困難」といったケースが挙げられます。
ご利用者様が生活を送るうえで必要な介助を行う
特別養護老人ホームは要介護3~5のご利用者様が入居しています。そのため、以下のような身体介助が中心となります。
- 排泄介助
- 食事介助
- 入浴介助
- 移動介助
- 移乗介助
なかでも移乗介助はおこなう頻度が高い介助の1つです。オムツ交換を行う際も、ベッドへ移乗しなければ始まりません。
身体介助のほかにも「介護記録の記入」や「レクリエーションの実施」といった仕事もあります。
従来型とユニット型がある
特別養護老人ホームは、おもに「従来型」と「ユニット型」の2種類あります。
従来型
従来型は、多床室が比較的多いです。4人で1部屋など複数人で部屋を共有し、食堂やリビングなども大人数で利用します。
大人数のご利用者様を複数のスタッフで介護するため、働く場合は相談できる相手がいる環境であるといえるでしょう。
ユニット型
ユニット型は個室が比較的多く、共同で使用しているリビングと居室が面しています。担当ユニットのご利用者様を少人数のスタッフで介護します。
ご利用者様に寄り添った個別ケアができます。しかし、時間帯によっては1人で対応するケースもあるため判断力が必要です。
特別養護老人ホームで働くメリット
実際に特別養護老人ホームで働いていた経験から、私が感じたメリットは以下の2つです。
- 身体介助の技術が身につく
- 専門職に相談できる
それぞれ解説します。
身体介助の技術が身につく
特別養護老人ホームは要介護3~5のご利用者様がメインで入居されています。なので、身体介助する機会が非常に多いです。
先述したとおり、排泄介助時にはベッドへの移乗が必要です。食事介助時には食堂へ移動するため、臥床しているご利用者様を車椅子へ移乗します。
排泄介助にしても、日中はリハビリパンツ使用でトイレを使用されるご利用者様も、夜間はオムツを使用される方もいます。そうなると、夜勤スタッフのオムツ交換の回数は増えますね。
さらに、自分がオムツ交換したあとに再度自分が交換するケースも多いので、オムツの当て方の研究にもなります。排泄介助の技術は在宅でも施設でも役立つため、介護士を続けるうえで欠かせません。
こうした技術の向上が目指せるのは、身体介助量が多い特別養護老人ホームならではといえるでしょう。
専門職に相談できる
特別養護老人ホームには、以下の職種の配置が義務付けられています。
- 看護師
- 機能訓練士
- ケアマネージャー
- 生活相談員 など
そのため、ご利用者様のケアや体調に関してすぐに相談できます。
夜間は、看護師が常駐している特別養護老人ホームは少なく、ほとんどがオンコール体制です。しかしご利用者様の日頃の状態を把握している看護師に相談できるため、安心して仕事に集中できます。
介護スタッフの知識だけでなく、多職種で連携してご利用者様の日々のケアにつなげられるのは、特別養護老人ホームの強みでしょう。
特別養護老人ホームで働くデメリット
私が感じた特別養護老人ホームで働くデメリットは以下の2つです。
- 自分のペースで仕事を進められない
- 優先順位を的確に判断する必要がある
それぞれ解説します。
自分のペースで仕事を進められない
特別養護老人ホームのなかでも、とくに従来型は多数のスタッフと協力して仕事を進めます。そのため、自分の考え方のみで仕事を進めるのは難しいです。
ご利用者様のためを思ってケアを行っていても、ほかのスタッフから理解を得られない可能性があります。スタッフ同士で協力し合えないと雰囲気が悪くなり、仕事を進めるのに支障が出てしまいます。
そのため、自分がケアに取り入れたいことは根拠を持って説明し「周囲の理解を得ること」を大切にする姿勢が求められます。
優先順位を的確に判断する必要がある
特別養護老人ホームでは、ほとんどのご利用者様が認知症です。声掛けの内容を理解してもらえないケースがあるため、ご利用者様の安全を守るためにもスタッフ側がタイミングを図る必要があります。
たとえば、転倒リスクの高いA様がいつも夜中2時頃に起きてトイレへ行かれるとします。その場合、2時にほかのご利用者様のオムツ交換などに入ってしまうと、離床センサーなどが反応してもすぐに駆けつけられません。
そのため、2時ごろにはすぐ対応できるように「オムツ交換を済ませておく」、2時前にA様が目を覚まされていれば「トイレの声掛けをする」といった柔軟な対応が求められます。
もちろん、ご利用者様の意思が優先されますが、限られたスタッフの数でいかに安全にご利用者様に生活していただくかを考えなければなりません。
そのためにも、それぞれの場面で適切に優先順位を判断して動かなければなりませんね。
まとめ
特別養護老人ホームは身体介助量が多く、身体的な負担も少なくありません。しかし、得られる技術も多く、身体介助ができればほかの介護施設でも即戦力となれるはずです。
特別養護老人ホームへの就職や転職を検討されている方は、本記事を参考にして職場とのミスマッチを防ぐのに役立ててみてくださいね。